ポリーニ、ベーム/モーツァルト・ピアノ協奏曲第19、23番(仏 DGG 2530 716)
ピアノ協奏曲第23番は1786年、ウィーンで活躍していたモーツァルトが自作自演する予約演奏会のために書いた作品で、その親しみやすさとわかりやすさで一般的に最も広く知られている協奏曲の一つ。ティンパニとトランペットが使用されない為に、全体の響きはずっと室内楽的に聞こえます。そして、この曲でもクラリネットが重要な役割を担っていますが、第1楽章冒頭の主題が、名作「クラリネット協奏曲」と「クラリネット五重奏曲」のそれとよく似ているのが面白い。
ひとつひとつの音符、フレーズが一瞬さえも飽きさせることが有りません。元よりモーツァルトのピアノ協奏曲に駄曲は一曲も無いとは思っていますが、この曲が到達している透明な完成度は日常忘れている地球の重力を感じさせる音楽体験をもたらしてくれます。
本作は、1976年収録、30歳代半ばのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニの端正な美しいソロと、巨匠カール・ベームとウィーン・フィルの黄金コンビによる滋味溢れるあたたかい演奏が奏でる極上のモーツァルトを録音したアルバム。
またと訪れない時間。音楽する喜びにあふれたポリーニの演奏を聴くことがでる。
このモーツァルトは精密な機械仕掛けの自動演奏、完璧な10指のコントロールを誇るポリーニ。指揮にピタリと合わせて自在さが無い。 ― カール・ベームはモーツアルトを自らの『音楽上の守護神』と称していたが、80才を越えたこの時の演奏でポリーニの放つ『音の粒』の静かな嵐に『神』を感じていたに違いない。立派で威厳が有るのに窮屈しない。この時期のコンビでのモーツァルトの録音を、もっと沢山聴きたかったと残念になるほど美しい演奏です。
超絶技巧ばかりが自分の音楽の魅力ではないことを証明したポリーニの端正で粒の揃った美しいソロ、楽員の自発的アンサンブルが音楽の息づきをニュアンス豊かに伝えるというウィーン・フィルならではの演奏が絡み合って感銘深いモーツァルト像が確立されています。バランス・エンジニアは名匠ギュンター・ヘルマンスが担当、アナログ完成期の落ち着いた良い音質でモーツァルトが楽しめます。
録音:1976年4月、録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール。
作曲家 | ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト |
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演奏者 | マウリツィオ・ポリーニ |
指揮者 | カール・ベーム |
オーケストラ/楽団 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音種別 | ステレオ録音 |
ジャケット状態 | M- |
レコード状態 | M- |
レコード製盤国 | FR(フランス)盤 |
販売価格 | ¥2,000 |