ムター、カラヤン/メンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲、ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲第1番(独 DGG 40 0051)
2532 016 と同マスターを使用した『クラブ・エディション』。『カラヤンと華麗なるソリストたち』の一枚に数えられている当時17歳のムターが初めて挑戦したロマン派ヴァイオリン協奏曲の名作2曲のレコーディング。どちらもたった2回のセッションで録音されました。17歳のムターがカラヤン&ベルリン・フィルに臆せず立ち向かっていっている姿が彷彿とさせられる白熱したところを感じます。
メンデルスゾーンではカラヤン&ベルリン・フィルの厚みのある響きがムターのソロを盛り立て、スケールの大きな演奏を繰り広げています。
白眉はブルッフ。かつては三大ヴァイオリン協奏曲に位置づけられていた名曲だけに数々名演奏は聞きましたが、これほど迫力に満ちた演奏は初めて聞くような新鮮さを感じます。
この曲は協奏曲としては変わった構成で、第1楽章には「前奏曲」というタイトルを付け、第2楽章がメイン、第3楽章が終曲となっています。聞き所は第2楽章の瑞々しいロマンティシズムで、ムターの魅力が最大限に発揮されています。クライマックスは、これがとても協奏曲の伴奏とは思えぬ素晴らしさで、ムターの力強いヴァイオリンとともに曲の美しさを満喫できます。もちろんカラヤンは威圧的にねじ伏せるようなところはなく、ムターのヴァイオリンを受けて立っているものの、だからと言って手加減はしていない、そんな感じを受けます。
カラヤン節の極み。
カラヤンの録音で一番充実しているのは1980年代のデジタル録音。再録音の多いチャイコフスキー、ドヴォルザーク、ベートーヴェンと1970年代の演奏は緊張感が違うと思う。円熟してカラヤン節の極みとでも言える。レコード録音の壺を先天的に把握していたカラヤンのオーケストラの鳴らしっぷりは、ダイナミック・レンジが非常に大きい。ノイズに埋もれないレコード録音の理想を手に入れて、弱音部では繊細きわまりない音楽を作り出し、強奏部分では怒濤の迫力で押してくる。その較差、落差と云ってもいいのかな、他の指揮者ではなかなか見られないカラヤン流の演出。
ベルリン・フィルの迫力も頂点に達している。個々の楽器が当然のように巧いし、全体がよく揃っている。ムターもカラヤンの意図を良く理解している。カラヤンの教えに忠実に弾いているのか、二人共に同じ目標を目指していたからか、現在のムターのスタイルも延長線上にあるのでカラヤンの美点を吸収したのかもしれない。
録音時期:1980年9月、録音場所:ベルリン、フィルハーモニー。
ギュンター・ヘルマンス録音、ギュンター・ブリーストのプロデュース。
作曲家 | フェリックス・メンデルスゾーン マックス・ブルッフ |
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演奏者 | アンネ=ゾフィー・ムター |
指揮者 | ヘルベルト・フォン・カラヤン |
オーケストラ/楽団 | ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音種別 | ステレオ録音 |
ジャケット状態 | EX |
レコード状態 | M- |
レコード製盤国 | DE(ドイツ)盤 |
販売価格 | ¥2,000 |