説明
極上のサウンド・トラック盤
ミロス・フォアマン監督が1984年に劇作家ピーター・シェーファーのトニー賞受賞作の戯曲を映画化して成功を収めた作品は、10近くの部門でアカデミー賞を獲得したが(作品賞、主演男優賞、監督賞など)、ただウォルフガング自身(そして映画のなかで彼を演じたトム・ハルス)だけはアカデミー賞から見落とされてしまったようである。この増補3枚組のディスクには、映画のなかで使われたモーツァルトの交響曲、協奏曲、セレナード、オペラ(「後宮からの誘拐」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」のすばらしい一部も含まれる)からの抜粋曲の、サー・ネヴィル・マリナーによる歯切れがよくて精確な演奏がすべて収められている。「アマデウス」の成功が刺激となって、長いこと遅れていたクラシック音楽への関心が復活し、陶酔をもたらす音楽と期待にそむく道徳的矛盾のかたまり、つまりはモーツァルトへのより豊かな、より手軽な手引きとして、人は「アマデウス」に飛びつくだろう。
曲目リスト
ディスク 1:
- Symphony No. 25 In G Minor, (1st Movement)
- Stabat Mater; Quando Corpus Morietur And Amen
- Bubak And Hungaricus
- Serenade For Winds, (3rd Movment)
- The Abduction From The Seraglio, (Turkish…)
- The Abduction From The Seraglio (Chorus Of…)
- Caro Mio Bene
- Mass In C Minor
- Concerto For Flute And Harp, (2nd Movement)
- Concerto For Two Pianos, (3rd Movement)
ディスク 2:
- Symphony No. 29 In A, (1st Movemnet, Allegro Mod.)
- Piano Concerto In E Flat, (3rd Movement)
- The Marriage Of Figaro, Act III, Ecco La Marcia
- The Marriage Of Figaro, Act IV, Ah Tutti Contenti
- Axur, Finale
- Piano Concerto In D Minor, (1st Movement)
- Zaide; Aria, Rhue Sanft
- Don Giovanni, Act II, Commendatore Scene
- Eine Kleine Nachtmusik, Serenade, (1st Movement)
ディスク 3:
- Symphonie Concertante, (1st Movement)
- Masonic Funeral Music
- The Magic Flute, Overture
- The Magic Flute, Aria (No. 14), Queen Of The Night
- Six German Dances
- Introitus, (Orchestral Introduction)
- Dies Irae
- Rex Tremendae Majestatis
- Confutatis
- Lacrymosa
- Piano Concerto In D Minor, (2nd Movement) Romanza
作曲家を知り尽くした音楽を合わせるタイミングが最高。
音楽家の生涯を描いた映画では最高峰に評価されるだろう。真実のモーツァルトは映画のとおりではないけれども、最新の研究に即しているところとイマジネーションが上手いことミックスされています。
刺激的なほどデフォルメされたところ、あの下品な笑い方など、医学的にも裏付けのあるところ。映画ではロマンティックな死の描写となっていますが、脳障害があったことは解明されている。
映画用に録音し直された演奏
さすがに映画に『おしりをなめろ』とか『うんちくん』の歌が登場しなかったのは残念。
映画の中で「フィガロの結婚」をイタリア語にするか、ドイツ語にするかというシーンで、モーツァルトが何語でもいいですよ、と答えるのがモーツァルトの音楽の特徴をよく言い得ているでしょう。モーツァルトにとっての音楽は、彼の自己表現であり宗教曲だからとか、遊び歌だからという仕切りはなかった。よく取り上げられるのが、フィガロの結婚の伯爵夫人のアリアと、ミサ曲が同じ曲で歌詞が異なるだけ、だということに現れている。
録音の数多さはカラヤンを追従する、ネヴィル・マリナーが演奏から全てを担当。
映画ロードショー時に出たCDには、映画で使われた演奏とは違う音源もありました。ネヴィル・マリナーはモーツァルト全集をフィリップスに録音していますが、それとも録音は異なります。
映画『アマデウス』のドラマにふさわしい演奏をここでしていると言えます。曲によっては部分だけで全曲でないのは残念でしょうけど、サウンドトラックとしての演奏であることを失念してはならないと思います。
マリナーのモーツァルトとしては、このサウンドトラックではなくフィリップスに録音している方を重視してください。